トライアスロンなどというスポーツをやっていると、その魅力についてよく聞かれます。早い話が、そんなに苦しい思いをして何が面白いのか。そらそうです。苦しいし、痛いし、きつい。何が面白いのか不思議に思うのは当然です。
ランニングの場合、距離は5km、10km、21km、42.195km、100kmとそれ以上。トライアスロンの場合、距離は大きく分けて三つ。ショート、ミドル、ロングとあります。総距離では51.5km、113km、226km。大会によって数kmの差がありますが、だいたいこんな感じで分けられます。トレイルランニングの場合は大会ごとに距離が違い、数kmの大会から50km超え、70km超え、100km超え、160km(100マイル)とそれ以上で数百km。日本で有名なところだとウルトラ・トレイル・マウント・フジの約170kmや、トランス・ジャパン・アルプス・レースの約415km。
普通の人のイメージだと、ランの10km以上になると過酷で意味不明な距離になってくると思います。僕もそうでした。トライアスロンを始めたときは、51.5kmの大会はもちろん、10kmのランだってめちゃくちゃ長く感じたし、21kmのハーフマラソンなんて信じられないくらい長く感じました。つまり、その辺りを限界と感じていたってことです。
ただ、その限界というのは、頭で考えていた限界で、やってみたら出来ちゃったってことになります。ことごとく出来ていきます。10kmなんて走れるだろうか、と思っていても出来ちゃうし、ハーフマラソンだって、フルマラソンだって結果として走れちゃう。51.5kmのトライアスロンも、初めてのときは死ぬんじゃないかと思いながらスタートするのに、意外と普通に完走できちゃって、ミドルもその延長で完走できちゃう。ロングなんて3.8km泳いで、180kmも自転車に乗って、その後にフルマラソンなんて狂気の沙汰だとか、絶対に無理だとか思っているのに、ちゃんとゴールできちゃう。つまり、自分の限界≒自分の思っていた限界を超えていく経験を何度もできちゃうわけです。
テレビの向こう側にいる、スーパーな人たちのパフォーマンスを見て凄いなーと感じるのではなく、自分自身が凄いと感じられる経験を何度も出来る。これこそが超長距離スポーツの面白さだと思います。