経営戦略とか競争力という言葉があります。前者は企業が持続的に競争に勝っていくための考え方であり、企業の方向性を示すもの。どう経営していくか、後者は経営戦略の中にもある競争に勝つための力。これがず----っと腑に落ちなくて苦手でした。
業界の先輩が「生き残っていくためには、これまで以上の競争力をつけないと」みたいなことを言って、みんながウンウンと頷いて。僕は「ん---。そうかなー?」と。だって、このときの競争力って簡単に言うと、同業他社に勝つため仕入れを安くして、安く売るってことですよね。うちの仕入先というと瓦メーカーが主で、日本最大の瓦の産地である三河の瓦メーカーはどんどん倒産して、無くなっているんですよね。つまり、すでに商売として成り立っていないということ。今以上に仕入先を叩いてどうするんだろう?僕らの仕事は瓦があって初めて成り立つのに。瓦メーカーだって仲間なのに。それを叩いてどうするんだろう?僕の大嫌いな経営者といえば堀江貴文、ホリエモンなんですけどね。ホリエモンと僕は同い年で、彼は東大、僕はFラン大。収入も何もかもホリエモンには勝てません。勝っているところと言えば、見た目(圧倒的)とか、いい匂いがしそうなところくらい。まあ、多分に嫉妬を含んで嫌いなんですけど、それでもホリエモンが良いことを言っていました。「経営者にとって、良い物を安く売るって最も楽な仕事なんだ」みたいなことを。瓦業界の現状を鋭く衝く言葉だと思います。
一方でエクスマ塾の藤村先生は「戦略っていうけどさ、誰と戦ってるの?」とか「競争って、誰と競争してるの?」とか言います。戦って勝つ相手も競争する相手も同業他社で、ってことは「同業他社ばかり見ていて、お客さんを見ていないよね?」ってことです。この言葉が僕にとっては本当に腑に落ちたんですよね。僕にとって同業他社も瓦業界の仲間であって競争相手ではないし、何よりもお客さんを相手に仕事をしたい。お客さんの思いを実現するために仕事をしたい。それに必要なことは、戦略とか競争じゃないことだけは分かります。そして戦いから外れてから、お客さんとの関係が良くなった思うんです。