トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

『チームⅡ』堂場瞬一著。傲慢な天才・山城は復帰できるのか。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

年末に読了した『チーム』堂場瞬一著に続き、『チームⅡ』を読みました。

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チームII (実業之日本社文庫)

チームII (実業之日本社文庫)

  • 作者:堂場 瞬一
  • 発売日: 2015/10/03
  • メディア: 文庫
 

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『チーム』で学連選抜チームが箱根駅伝を走った7年後の話です。最後まで傲慢だった天才ランナー・山城が故障し、2年間も実戦から遠ざかる中、引退を意識しだします。悪いことは重なるもので、山城が所属する実業団・タキタの陸上部に解散の噂が流れます。実業団陸上部が解散するとなると、選手が選ぶ道は、他の実業団への移籍かプロランナーとして転向、あるいは引退するかしかありません。マラソン日本記録保持者とはいえ、山城は2年間も大会に出場しておらず、先行きの見えない状況に初めて戸惑うことになります。そんなときに現れたのが、当時の学連選抜キャプテンで、現城南大学陸上部、長距離監督の浦です。浦は生来のおせっかいを発揮し、山城を支えることを決め、かつてのチームに声をかけます。果たして山城は復帰できるのか。

天才ランナーである山城は「才能のある選手に回りが協力するのは当たり前で、感謝する必要はない」と考えているほど傲慢ですが、読者はなぜか山城を嫌いになれません。それは浦の山城評によるところが大きいと思いますが、必ず結果を出すという強さに対する憧れもあるかもしれません。

 

堂場瞬一の長距離物は、ランナーの心理描写が見事です。走っている人の気持ちを描きだし、走ったことのない人にも伝えてくれます。そんな堂場作品の虜になった一人が、文庫版の解説を書いている麻木久仁子さん。麻木さんは運動神経が崩壊(笑)していて、とにかく体育の時間が嫌い。走るのも嫌い。何が面白いのかわからなかったそうです。ところが堂場瞬一の長距離スポーツシリーズ『チーム』『ヒート』『キング』『チームⅡ』と読み、すっかり長距離スポーツにハマったようです。解説でも熱く語っています。

 

『チーム』も良かったけど『チームⅡ』も負けず劣らず良い作品でした。インターバル走でやめたいほど苦しいとき「山城なら絶対にやめないはず」と思って走り切るのにも有効な作品です。