トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

敗者の寄せ集めが箱根駅伝に挑む『チーム』堂場瞬一著

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

どうもここのところ箱根駅伝づいていましてね。今度は『チーム』堂場瞬一著を読みましたよ。

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チーム (実業之日本社文庫)

チーム (実業之日本社文庫)

  • 作者:堂場 瞬一
  • 発売日: 2010/12/04
  • メディア: 文庫
 

 

  箱根駅伝というと、関東の大学長距離界に君臨する、強豪大学の陸上部が繰り広げる駅伝を舞台にしたドラマ。現在だと青山学院大学駒澤大学東海大学あたりが超強豪校で、彼らは箱根で優勝するために大学生活を送っています。一方、前年の箱根駅伝に出場するも、惜しくも10位以内に入れなかった大学は、予選会に出場し、上位に入ることで箱根駅伝への出場権を得ることになります。予選会に対するスタンスもいろいろで、前年にシード落ちした大学や、あるいは前年は出場できなかったけど、それでも強豪の一角を占めるような大学は、予選会にも真剣に臨みますが、箱根を夢のそのまた夢と捉えているような大学から出場する選手たちは、予選会すら思い出作り的な場となるようです。

 

『チーム』の物語は予選会の終了から始まります。予選を突破できなかった大学から、予選会のタイムが良かった選手たちが集められ、学連選抜という即席チームが作られます。『チーム』の主役は学連選抜です。学連選抜には前年に自分が失速し、シード落ちした城南大のキャプテン・浦、後に日本長距離界の至宝と呼ばれるようになる東体大の天才ランナー・山城らが選出されますが、それぞれに思いを抱えています。自分が本来、所属する大学の仲間は箱根に出場できないのに、自分だけが出場する。それは裏切りなんじゃないだろうか…。俺は自分のためだけに走る…。

学連選抜チームというのは、予選落ちした大学から集められるとはいえ、各校のエース級が集まるので、持ちタイムだけで考えると、決して遅いチームではありません。駅伝は走っているときは一人ずつで、さらに個々には実力が伴っているのに、それでも学連選抜が勝てないのには、駅伝というのは、やはりチームとしてまとまることに大きな意味があるということでしょう。

物語では敗者の寄せ集めが、それぞれの出身大学のユニフォームを着て箱根路を走り、強豪相手に立ち向かう姿が描かれています。もし学連選抜が青学や駒澤をやっつける日が来たら…。その年の箱根は歴史に残る大会になるでしょう。

2008年には青学の監督、原晋さんが率いる学連選抜が総合4位に入り、衝撃を与えました。スポーツに奇跡はないけど、奇跡のように輝く選手やチームが現れることがあります。2021年の箱根駅伝前に『チーム』を読むと、学連選抜チームへの見方が変わるかもしれません。学連選抜は日本人の琴線に触れるものがあります。