トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

小瓦糸のし仕様の門を葺きあげる。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

ちょっと前のブログに書いた、小瓦の門が完成しました。

yoshikixxtri.hatenablog.com

雨が続いたり、段取りがいろいろあったりで、通算の日数はけっこうかかりましたが、実際には5日くらいかな?なんとか完成にこぎつけました。

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普通の大きさの瓦で1坪あたり53枚を用いますが、小瓦は1坪あたり80枚が必要。けっこう小さいんです。使う場所は今回みたいな門だったり、小さな庇だったりします。なんでそういう場所に小瓦を使うかというと、母屋に使われている普通の大きさの瓦と、見た目のバランスをとるためです。門や庇みたいに目に近いところにある瓦を小さくすることで、母屋の瓦が小さく見えないってことです。遠近法ですね。わかりますかね(笑)まあ、ほんとちょっとしたコダワリです。

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葺いているときに碧い紅葉がハラリと。

今回の場合は、小瓦だけでなく、糸のし瓦も使いました。小瓦の糸のし瓦なんて、そんなの初めて触りましたよ(笑)ほんとに滅多に無い仕様で、ほとんどの瓦葺き師が触ることなく終わる瓦なんです。僕も修理では触ったことがあるけど、新しく造られた屋根に葺くのは初めてでした。

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糸のし瓦はこんなふうにクサビを打ちながら積んでいきます。糸のし瓦は曲がっているのが常なので、通常の厚のし瓦みたいな真っ直ぐなラインは出ませんが、一枚ずつ違うねじれで構成される微妙な動きを愉しんでもらう、お洒落な仕様です。

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クサビを抜いて、実際の目線から見てみます。なんとか形になって一安心です。初めての小瓦糸のし瓦の割には上手に葺けたかなと思います。とかいって、アップでは見せませんけどね(笑)

 

建て替える前の瓦には、まだまだ追いつけませんが、この瓦も数十年を掛けて美しく変化していってくれることでしょう。何年かごとに見にきます。

 

たぶん最初で最後の小瓦糸のし仕様。緊張感と共に充実した時間でした。おかげで珍しく職人らしいブログになりました(笑)