僕は現場で作業する合間に、お客さんと話すようにしています。世間話もするけど、特に屋根の話をします。
屋根や瓦について、いろんな話を。
そもそもの屋根の役割、瓦と他の屋根材の違い、瓦の寿命やメンテナンスについて、屋根と建物の耐震性の関係や、果ては瓦の歴史についてまで。瓦葺き職人という専門性の高い仕事をしていると、勝手に「お客さんはこれくらいは知っているはずだ」と思い込むこんでいることがあります。でも、お客さんは無知です。語弊を招く言い方かもしれませんが、本当のことを知りません。最近はSNSやYouTubeみたいな動画系で、さも詳しそうに話している人がいますが、僕の感覚だとだいたい間違っています。設計士や建築士だって屋根のことはほとんど理解していないので、間違って当然なんですけどね。
伝えるのも僕の役割。
お客さんと話していると「ええっ!そうなのっ!?」と驚かれることがたくさんあります。そりゃね、嘘をついて大掛かりな工事をすすめれば儲かるかもしれません。でも、そんなの日本人として、職人として正しくないし、面白くないので、僕は本当のことを伝えます。そうして本当に良い屋根材や施工方法はどんなものなのかを、一人ひとりに伝えていくのも僕の役割なんだろうと思っています。
