トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

『古民家』と『中古住宅』は建物の経年変化による味の違い

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

うちの仕事には古い家の屋根の修理があります。今回はその『古い』という言葉の意味についてです。

家における『古い』には『古民家』と『中古住宅』という違いがあります。どちらも『古い』ことに変わりはないわけですが、言葉が違うということは建物自体にも違いがあるわけです。

戦前戦後で違いが生まれる

ここからは僕の基準になってきますが、『古民家』と『中古住宅』には明確な違いがあると思います。まず一番は築年数でしょう。築80年くらいになると『古民家』となり、それより新しいと『中古住宅』になるといった感じ。この2023年から80年前となると戦前、戦後あたりになるわけですが、工法や建材にも違いがあります。

屋根材と壁材の違い

屋根についてだと屋根材が『いぶし瓦か茅葺』かそれ以外かという違いがあります。化粧スレート(カラーベスト)や板金屋根はもちろん、瓦業界では陶器瓦と呼ぶ釉薬瓦を使っていても古民家とは言えないかもしれません。釉薬系瓦の使用については地域性もありあすが、少なくとも、うちの知多半島では『いぶし瓦か茅葺』が使われていることが古民家の条件になると思います。

美しく経年変化したいぶし瓦

次は壁ですが、トタン(ガルバリウム鋼板)やサイディングではなく、『木板や土・漆喰』が使われていることが基準になると思います。

築40年近くの我が家の外壁。15年に一回くらい塗るだけで、まったく傷んでいません。

経年変化が生む味が二つの違い。

屋根と壁の両方について、基準が一つあります。それは長持ちするかどうか、新築から80年近くが経っても、そのまま、あるいは部分的補修で使えているかどうか、そして建材の経年劣化が劣化ではなく、経年変化による味になっているか、ということ。つまり、築80年くらいが経ち、建材の経年変化が建物の味になっているか否か、ということが『古民家』と『中古住宅』の違いであり、二つの言葉から感じる味の違いとも言えるかもしれません。