江戸時代に開発されて、瓦業界では長く『和型』と呼ばれている瓦。
こんなふうにお寺の屋根にも使われているし、普通の家にも使われています。僕が修理に行く家の屋根の99%が和型ですが、新築で和型を採用してもらえることは、ほとんどありません。雨をしっかりと流すという機能、美観からも、ほぼ完璧な屋根材なのに、なぜか採用されません。これはこの先、日本人全てが考え直さなければならないことの一つだと思います。
そんな和型という瓦。割れた瓦の交換に行くと、ほぼ大きさが合いません。地域や作られた時代、作った窯や職人によって大きさが違うんです。うちでは屋根の葺き替えをするときに、全ての瓦を捨てず、古い瓦を保存しておいて、修理のときに持っていって使うこともあるのですが、それでも大きさが合うことは、ほとんどありません。
では、どうするかというと、瓦を切って、大きさを合わせます。
たとえば↓の写真の瓦。
大工さんが応急処置でコーキングしてくれています。これを抜いて、持参した新品の瓦と比べてみると。
こんなに大きさが違います。瓦を切るために、まずは新しい瓦に目印を書きます↓
で、陶磁器用の刃を着けた卓上グラインダーで切ります。
ギョイーンと切ります。
切ったあとはこんなふう。
抜いたところに差し込みます。
ほぼピッタリ。
ちょっと遠くから見ると。
写真の真ん中より少し右下の白っぽい瓦が交換した瓦。他にも白っぽい瓦がありますが、それは経年で白っぽく変化した瓦です。つまり、交換に新しい瓦を使うことが可能で、さらに色の違いが気にならないというのも、いぶし瓦の良いところです。
家は短くても数十年、住むわけですから、時が経ても交換できる瓦を使うのは、合理的なことでもあるんです。