トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

瓦は時を経ても交換できるというのも良いところ。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の竹内です。

 

江戸時代に開発されて、瓦業界では長く『和型』と呼ばれている瓦。

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こんなふうにお寺の屋根にも使われているし、普通の家にも使われています。僕が修理に行く家の屋根の99%が和型ですが、新築で和型を採用してもらえることは、ほとんどありません。雨をしっかりと流すという機能、美観からも、ほぼ完璧な屋根材なのに、なぜか採用されません。これはこの先、日本人全てが考え直さなければならないことの一つだと思います。

 

そんな和型という瓦。割れた瓦の交換に行くと、ほぼ大きさが合いません。地域や作られた時代、作った窯や職人によって大きさが違うんです。うちでは屋根の葺き替えをするときに、全ての瓦を捨てず、古い瓦を保存しておいて、修理のときに持っていって使うこともあるのですが、それでも大きさが合うことは、ほとんどありません。

 

では、どうするかというと、瓦を切って、大きさを合わせます。

たとえば↓の写真の瓦。

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大工さんが応急処置でコーキングしてくれています。これを抜いて、持参した新品の瓦と比べてみると。

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こんなに大きさが違います。瓦を切るために、まずは新しい瓦に目印を書きます↓

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で、陶磁器用の刃を着けた卓上グラインダーで切ります。

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ギョイーンと切ります。

切ったあとはこんなふう。

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抜いたところに差し込みます。

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ほぼピッタリ。

ちょっと遠くから見ると。

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写真の真ん中より少し右下の白っぽい瓦が交換した瓦。他にも白っぽい瓦がありますが、それは経年で白っぽく変化した瓦です。つまり、交換に新しい瓦を使うことが可能で、さらに色の違いが気にならないというのも、いぶし瓦の良いところです。

 

家は短くても数十年、住むわけですから、時が経ても交換できる瓦を使うのは、合理的なことでもあるんです。