トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

厳島神社の鳥居に見る、屋根の重さの重要性。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

広島県は宮島、世界遺産にもなっている厳島神社。数年前に出場した宮島国際パワートライアスロンのスタート地点といえば、有名な鳥居です。

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この鳥居が現在、70年ぶりの大規模な改修中らしいです。

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1400年ほど前に建てられ、現在の鳥居で八代目になるそうです。つまり170年に一度くらいしか建て替えられない、それだけ長持ちするということですね。とんでもない丈夫さです。鳥居の木は樹齢500年を超える楠で、虫がつきにくく、腐りにくいので長持ちするそう。そしてこの鳥居、実は土台には固定されていません。土台の上に6本の脚がドンと置かれているだけ。にもかかわらず台風が来ようが、地震が起きようが倒れません。潮が引いているときならまだしも、潮が満ちているときなんて、浮力が発生して倒れやすくなりそうなものなのにね。

なぜ倒れないかというと、秘密は屋根にあります。屋根は檜の皮を何枚も重ね、竹の釘で留めていく『檜皮葺き』になっています。一部の神社とかお寺に使われている技法ですね。ですが、檜皮葺きが倒れない理由ではなく、その内側に理由があるんです。檜皮葺きの内側に『鎮石』という小石をたくさん入れるんです。その重さは実に4トン以上。上のほうを重くし、土台にしっかりと荷重を掛けることによって安定させているんですね。昔の人の知識って凄いです。

 

昨今は「屋根は軽いほうが良い」という風潮がありますが、日本には1000年以上も前に瓦葺きで建てられた建物が、未だにたくさん残っています。軽いほうが地震に強い、というのであれば、大昔に建てられた瓦葺きの建物なんて、とっくに倒壊しているはず。どんなことでもバランスが大切なんだと思います。