トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

残念ながらこんな屋根材が存在するという事実。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

日本における瓦の歴史は1400年ほどで、その前は草木や樹木の皮を使っていて、長い間、ほんの数十年前まで自然素材でなければ瓦という時代が続きました。茅葺き(かやぶき)に代表される自然素材の屋根というのは、耐久性が低く、10年ほどで葺き替えが必要になってしまいますが、茅自体は昔は至る所に生えていて、無料で手に入る上に材料に困るということも無かったので、とても理にかなった屋根材でした。瓦については、その耐久性は言うまでもなく、100年200年という長きに渡って過酷な環境に耐えることができる、現在でも最強の屋根材と言えます。昔から使われてきた屋根材の共通点といえば、美しく、景色に溶け込み、あるいは景色を造るところでしょうか。

 

一方で、この数十年で生まれてきた屋根材はというと、茅葺きよりは耐久性が高いものの、決して近所で手に入るものではなく、にも関わらず建物よりも寿命が短く、美しくないものばかりです。天窓の雨漏りを修理するために上がった屋根はこんな材料でした。

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僕は瓦以外の屋根材はほとんど扱ったことが無いので、詳しいことはわかりませんが、築30年ほどで塗装は剥げ、基材はボソボソになっています。

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こういう屋根材の特徴は「塗装しないと吸水すること」です。塗らないと雨漏りする屋根材ってどんなんだよって話しです。塗装で防水するとも言えますが、ペンキ屋さんは「塗装は防水ではない」と言います。つまり、矛盾を抱えた屋根材だということです。さらに、こういうのを製造しているメーカーは大企業で、中には「塗装不要」と謳って売っていたメーカーもありますから、まあ、虚偽ですよね。でも保証期間の10年は過ぎているのでへっちゃらなんです。普通の人は雨漏りしなければ、屋根なんて見ないから気づかないし、もしかするとそういうのも計算済みなのか?というのは穿った考え方なんでしょうか…。大企業の考えることは、職人には理解できないことばかりです。

 

屋根材って、家にとってはめちゃくちゃ重要です。それは屋根屋だからというよりも、建築に携わる者として感じることです。

重いとか軽いとか、ただそれだけで屋根材を選ぶことなく、耐久性や美しさ=まちの風景に与える影響も考えて屋根材を選んでもらえたらと思います。