僕のブログにちょいちょい名前で登場してもらう、淡路の瓦師(瓦を作る職人)、大栄窯業株式会社の道上大輔さんが『住宅建築』という、建築に携わる人が読む本に登場しました。
テーマは『屋根再考』。
この数十年の日本の建築において、語弊を恐れずに書けば、屋根というのは軽んじられてきました。その家に住まうお施主さんの目からは見えないんだから、安くて雨漏りしなければなんでもいい、あるいは塗装が必要な屋根材のほうが、リフォームでの仕事に繋がる。そう考えるハウスメーカー、工務店、設計士、建築士、屋根屋がいるのも本当のことです。住宅建築2月号の巻末、編集後記には編集者が大学時代に「今の学生は屋根で建築を考えないね」と先生から言われたと書いてあります。なぜ屋根が薄いことが良いとされてきたのか、美しい屋根の風景にはたくさん出会ってきたのに、なぜ屋根を知ろうとしてこなかったのかと疑問に思い、この特集に繋がったとのことです。住宅建築なんていう、専門誌の編集者ですら、屋根に着目することがなかったということなので、建築に携わらない人たちにとって、屋根に興味がないのは当然のことです。
今号では瓦だけではなく、茅葺屋根にも着目しています。第一部が茅葺き。
茅葺きというのは、ススキを分厚く重ねて葺いていきます。「草や樹の皮を寄せ集めて使う」という意味のある「葺く」という言葉の語源的工法です。茅はススキなので、その地域に自然に生えているススキを狩り、集めると、屋根に使えるという、とても理にかなったものです。
第二部が瓦葺き。
写真は大栄窯業さんの『銀古美(ぎんふるび)』という、あえて色むらを出した瓦を用いた屋根に使った、淡路島の家。本来は瓦も、地域ちいきで採れる土を練り、焼き、その町の家で使っていました。
今までも何回か書いているので、ここで茅葺きや瓦葺きの良さを語るつもりはありません。僕ではなく、専門家が書いたものを読んでほしいと思います。特に、僕らみたいな建築に携わる者ではなく、これから家を建てようという人たちに読んでほしい本です。
Amazonはこちら。
楽天はこちら。
- 価格: 2640 円
- 楽天で詳細を見る