ある時期から異常な売電価格が決められ、爆発的に屋根にも載せられるようになった太陽光発電システム。
当時は条件によって売電価格が10年間は48円/kwhとか33円/kwhとか、いずれにせよべらぼうな金額に設定されていたことにより「元が取れる」と思って取り付けた方も多いと思います。そして、早いところだと、その10年が経過する時期が来ました。10年が過ぎると売電価格が10円以下、普通だと8円程度に下がり、売電で得られる差額はほぼ無いか、あるいはマイナスになる場合が多くなっていると思います。つまり「10年間で元が取れなければ投資としてはマイナス」ということになるわけです。
で、現れてきたのが「10年が過ぎたソーラーを新しいものにすれば、新たに売電価格が設定されるので儲かります」というもの。確かに10年を過ぎたソーラーを新しい物に交換すれば、新たに現在の売電価格である21円/kwhで契約できますが、儲かるというのは本当でしょうか?
確かに太陽光発電システム自体の価格は下がっていますが、それでも普通の家に載せる大きさのソーラーの価格は150万円ほどにはなります。最初に載せたソーラーの金額が250万円だったとして、そこに追加で150万円。合計400万円。月に2万円の収益があったとしても200カ月で16年以上。でも月に2万円も収益はありませんから、20年経っても元は取れないんです。ちなみに太陽光発電パネルの寿命はとても長いのですが、必ず取り付けるパワーコンディショナーというものは10年くらいで寿命が来るので、交換の必要があります。パワーコンディショナーの価格は約10万円です…。
太陽光発電システムは収益を得るためのものではなく、温室効果ガスを少しでも減らすための一助として考えるのが健全なはず。太陽光発電のパネルというのは、作るのに膨大なエネルギーが必要なものです。パネル自体の寿命はとても長く、数十年間の使用が可能です。一度、取り付けたパネルはしっかりと使ったほうが絶対にお得です。
「10年過ぎたら新しい太陽光発電パネルに交換したほうがお得ですよ」なんて甘言にはご注意ください。