トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

職人と経営者と。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

屋根屋の8割は零細企業。

全国の屋根屋の8割は従業員数5人以下の零細企業なんだそうです。うちも御多分の漏れず、バリバリの零細企業。2022年の春に30年ほど勤めてくれた一人が退職したので、現在は僕ともう一人の二人だけ。周りを見ても、けっこう二人~三人でやっているのが多い印象です。そして、僕はもう人を増やすつもりがないので、二人くらいでちょうどいいとも感じています。

職人と経営者の仕事は相反することがある。

職人というのは、現場の仕事をいかに上手に、かつ効率的に納めるかということに注力すします。かっこつけなので、良い仕事をしたいし、そのために色々と考え、工夫して質の向上に努めます。一職人としては、お金のことなんて気にせず、その現場で納得いう仕事をしたい。そして、お金について何か言うのもかっこ悪いと思っているので、何か言われたら(安くして、とか)、嫌だなと思いつつも「うん」と言いがち。さらにお年寄りの一人暮らしの家なんかに行くと、情に任せて安くしちゃいがちだったりもします。良い仕事を安く提供するほうが、かっこよくて気持ちいいですからね。

一方で、経営者は会社に利益をもたらさないといけません。お金を残さないといけないし、残ったお金で人を育てるという役目もあります。職人企業にして零細企業ということは、職人の親方=経営者ということになります。ほとんどの人が職人としての感覚が9割以上で、残りが経営者と言ったところだと思うので、職人が経営しているということになります。職人としての自分は上に書いた通りにしたいから、その気持ちに従います。となると、経営者としての立場とは、相反することも起こることになります。

経営者にとって良い仕事を安く売るというのは楽なこと。

同い年で東大中退、超お金持ちということで、多分に嫉妬を含みながら嫌いな有名経営者、ホリエモンが「経営者にとって、良い仕事を安く売るっていうのは、一番楽なんだよね。良い仕事をいかに高く売るかが経営者の仕事」みたいなことを言っていて、僕は衝撃を受けました。せっかく職人が良い仕事をしているのに、きちんと売ろうとしていない経営者って間違ってるなって。うちはたまたま零細企業なので職人=経営者ですが、大きな会社だったらそれぞれ違う人なわけで、自分とこの職人さんがせっかく良い仕事をしてくれているのに、経営者がそれを安売りしていたら、それって職人さん仕事の価値を下げていることになるし、職人さんの給料を上げることもできないってことにもなります。責任だけ大きくて、給料が安くて、暑くて寒くて危なくて、親方が厳しくてとなると、職人になりたいって人はいなくなって当たり前。そして屋根屋がいなくなって困るのはお客さんです。

職人と経営者を切り替える。

職人であり経営者であるというのは、良い面もあると思いますが、切り替えができないという面もあります。職人は良い仕事をして、経営者は良い仕事、責任ある仕事、誰かが必ずやらないといけない仕事、暑くて寒くて危ない仕事、誰かの役に立つ仕事をしているをしている人を、ちゃんと売る。屋根屋は1人で職人兼経営者であることが多いので、職人として、経営者として考えを切り替えるのが大切なんだと思います。