トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

床下の石は揺れを逃がす免震装置。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

昨日のブログでは床下から大量のお宝(瓦)が出てきたのを回収したことを書きましたが、そのときの画像の中に、瓦以外に石がいくつか写っていました。

三十代の人でも見たことない人が多いかもしれません。僕が若い頃でも、新築ではすでに使われていませんでしたが、これは家の基礎にあたる部分で、呼び名は地域とか流儀?によっても変わることがあるような気がしますが、礎石(そせき)とか束石(つかいし)というものです。この上に束(つか)という短い柱を立て、大引きとか根太(ねだ)という下地材を並べて床を張ることになります。

黒い丸は束を置いた跡。

この石はまったく固定されておらず、地面に置いてあるだけです。しかも丸いまま。ごろんごろんと動きます。その上に置かれる束も置いてあるだけで固定しないので、石の上でごろんごろんと動きます。なので、地震のときにはとても揺れることになります。が、実はそれが狙いです。固定せず、建物を揺らすことで、地震の揺れを逃がす=免震装置になっているわけです。『わかっている大工さん』が石の形や置き方、向きや場所をちゃんとすると、免震性能がすごいと言われています。実際に石の上に建てられた、築100年超えの家に住んでいる友達は「めちゃくちゃ揺れる」と言っていますが、何度かあった大きな地震にも耐えて、今でもその家は建っています。固定されていると、それを超える強い力が加わったときには壊れてしまいますが、固定されていなければ、力を逃がしてくれるということですね。

が、もちろん、現在ではこういった工法は法律で許されないので、一部の大工さんの頭の中以外には技術が残っていません。いわゆるロストテクノロジーの一つと言えます。

地震の多い日本では、昔から揺れを逃がすという考え方が進んでいました。固さだけを追求するよりも、揺れを逃がすという考え方のほうが日本ぽくて良いと思うんです。