トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

すべての仕事は誰かを幸せにするためにある。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

仕事というのは誰かの幸せのためにするものだと思っています。例えば葬儀屋さんなんていうのは、目の前には悲しんでいる人ばかりかもしれませんが、葬儀を上げることにより、悲しみに一区切りをつけ、幸せな日常に戻るための手助けですよね。すべての仕事が誰かを幸せにするために存在する。

 

2022冬季オリンピックが閉幕しましたね。いくつもの名勝負、新しい発見、納得のいかない判定やかわいそうなことがありました。

スピードスケートの女子チームパシュートでは、高木菜那さんが最終コーナーで転倒し、手にしかけた金メダルを逃してしまいました。彼女がいたおかげで決勝戦に進出し、銀メダルを獲得したのは、彼女の功績に他なりませんが、かわいそうで見ていられませんでした。

メダルの授与式でも悲しそうな顔は消えませんでしたが、帰り際にあるカメラマンが撮った一枚の写真には、顔をくしゃくしゃにして笑う三人が写っていました。

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もちろん三人とも泣き笑いだけど、感情の入り混じった一枚。この写真は以下の記事からです。

nordot.app

この写真を撮ったカメラマンの大沼さんは、リンクの内側に入る許可を得ていてその場にいましたが、三人を呼び止めて撮影することを迷っていたそうです。当然だと思います。とても難しいことです。「3選手は表彰されている間、複雑な表情を浮かべ、特に菜那はあふれる涙を何度もぬぐっていた。その無念さ、悔しさを思い、私も目頭が熱くなる。世界の強豪相手に死力を尽くして得た銀メダルは十分誇れる成績だが、悔しい結果でもある。そんな状況で「それでは笑顔で!」なんて、とても呼び掛ける気になれない。」と大沼さんは綴っています。

 

大沼さん「どうしよう。頭の中でぐるぐる悩んでいるうちにセレモニーは終わった。メダリストたちが各国のカメラマンの方へ歩み寄ってくる。悩んだ末、「いいですか」と静かに声をかけた。3人は「いいですよ」と応じてくれた。目を真っ赤にして肩を組み、ポーズを取る姿を見て、私はレンズを向けたまま、不覚にもぼろぼろと泣いてしまった。」

僕もその場にいたら、泣いてしまったと思うので、大沼さんの気持ちはよく分かります。

大沼さん「思いは言葉にならず、代わりに涙となってあふれてしまった。とてもファインダーをのぞけない。「すみません」と言うのがやっとだ。 すると「いや、そっちが泣くのかー!力が抜けるわ」と目に涙をためていた3人は、涙顔のまま大笑い。私もむせびながら、どう撮ったか記憶が定かではないが、後でカメラを見ると満面の笑みが記録されていた。」「撮影後、別の競技会場へ移動する車中でカメラマンの先輩がこう声を掛けてくれた。「あの時、おまえが声を掛けて写真を撮らなかったら、このレースで残るのは転倒の瞬間や涙に暮れる菜那選手など、悲しい写真ばかりだった。ここまで努力して、最後まで懸命に闘った選手たちもそれはつらいはず。ほんの少しだったけれど、彼女たちが心から笑顔になれる瞬間を残せた」」

 

写真は技術がとても大切な仕事だけど、この一枚は技術をはるかに超越した、人間らしさが成し遂げた仕事なんだと思います。大沼さんは素晴らしい仕事をしました。一生に一度、こんな仕事ができたとしたら、それも幸せなことだと思います。