トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

『知られていなければ、存在しないのと同じ』は技術力のある中小零細企業こそ、肝に銘じなければいけない。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

「良い仕事をしていれば、わかってもらって仕事は来るから大丈夫」

これ、中小零細企業の中でも、特に技術力が高くて、良い仕事をしている、職人気質の会社経営者が陥りやすいことです。うちもそうでした。職人はちゃんとした仕事をしていればいいんだって思っていました。ところが、良い仕事をしていても、うちの仕事は減る一方で、ほんとにジリ貧になりました。マジでギリギリ。自分の貯金を会社に貸してなんとか乗り切るということが数年続きました。

 

そんなときに、この言葉を聞かされました。

『知られていなければ、存在しないのと同じ』

めちゃくちゃ衝撃でした。そりゃぼんやりと分かってはいたんですけど「どんなに良い仕事や物でも、密室の中にあったら誰も知らなくて、無いのと同じだよ」という表現で、すとんと腑に落ちたんです。うちの仕事は屋根の上でやっていて、誰も間近に見てくれない。昔は分かっている大工さんとかがいたけど、今はハウスメーカーとかになっちゃったから、そんなのわかってもらえないんですよね。だから、どんなに良い仕事をしても、誰も見てくれなくて、密室でやってるのと同じ状況になっていたんです。そんなんじゃ仕事が来るわけないってことに、やっと気づきました。

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東京駅の赤レンガ

僕の高校の同級生で、常滑青年会議所(常滑JC)時代の同志でもある、㈱アカイタイル社長の赤井くん。2010年に僕が常滑JCの理事長をやることになったときに、赤井くんに副理事長をお願いしようとしたら「会社がどうなるか分からないから受けられない。申し訳ない」と断られました。そのときのアカイタイルはほんとうにギリギリの状態で、毎日、銀行と話しをしていたそうです。

それから2年後。赤井くんは常滑JCの理事長になりました。その間に、何があったかというと「アカイタイルの仕事を知ってもらう」ということに注力したんです。上の画像は東京駅ですが、他でもない、東京駅の赤レンガを復元したのがアカイタイルでした。アカイタイルには素晴らしい技術があるのに、誰にも知ってもらっていなかったから、仕事にならなかった、あるいは安い仕事にしかならなかったということなんです。赤井くんはJCの窯業部会で知った、中小企業専門のブランディングを行うコンサルタントに依頼し、ブランディングと知ってもらう努力をしました。なんせ東京駅のみならず、歴史的建造物のタイルの復元を数多くやってきているので、ネタには困りません。プレスリリースをメディアに流すと、次々と取り上げられ、ちゃんと利益の出る仕事が舞い込むようになりました。赤井くんとアカイタイルの変化を間近に見ていた僕は、心底驚いたものです。

 

それから数年後、うちの会社も危機に陥り、そのときに出会ったのが『知られていなければ、存在しないのと同じ』という言葉でした。それが僕の入塾したエクスマ塾を主宰する藤村正宏さんの言葉でした。アカイタイルのブランディングをした手法はうちには合わないけど、エクスマなら合うかもしれない、という感覚です。

 

うちみたいな、あるいはもっと大きくても、中小零細企業はもっと知ってもらうことを意識しないといけないんだと思います。もちろん知ってもらう方法や、知ってもらう内容はいろいろだと思いますけどね。