『別冊 太陽』という雑誌で「日本の住宅100年」というのを読みました。
すごく感銘を受けたのが、建築家・堀部安嗣さんの特別取材「構想と実行」です。サブテーマは「住宅建築の伝統と持続可能性を巡って」となっています。
以下は心に残った言葉です。少し構成は変化させますが、意味は変化させていないつもりです。
「ずっと持続してきた身近な実体を見つめ、評価を与えてゆくことが確かで、大切なこと。持続可能なものではなく、持続してきたものを見つめるのです。」
「本物とは風雪に耐え、長い時間持続したもので、偽物とは風雪に耐えられなかったもの」
「本物は個人の発明や理性を超え、自然の仕組みと淀みなく調和する普遍性を獲得している」
「時代に合わせて調整を重ね続け斬進的に変化し、改良されてきたからこそ残っている」
「懐古趣味的なところはありません。風雪に耐えてきたものがもし現代に有効でないと判断したら淘汰されても仕方ないと思う執着のなさもあります」
いかん。その通りだ!と感じる、あまりにも響く言葉の連続で、キリがない…。のですが、これだけは。
「瓦は地元で採取された土を焼いただけの無添加の建材ですが、現代におけるどんな屋根材をも凌駕する高い耐久性があります。自然から生み出されたものが、自然の脅威に対して人を守るという深遠な循環を示しているのは実に興味深い」
なんかもう、めちゃくちゃ響くことを書いてくれています。「本物は当たり前な顔をして存在する」という一項で締めくくられる文章は、僕のように瓦に携わる者のみならず、継続し、伝承してきた職人にとって、とても光栄で、勇気を与えてくれるものです。
本来、こういう雑誌は、僕らみたいな職人ではなく、これから家を建てる人に読んでもらえたらと思います。そうすると、住宅や、住宅に携わる職人に対する考え方が整うのではないかと思います。