トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

伝統とか文化とか、住む人や使う人にとっては関係ない。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の竹内です。

 

瓦業界で話していると「伝統や文化、歴史を伝えていかないと」という言葉をよく聞きます。そのたびに、あー、それじゃあダメかもね…。と感じます。だって、僕の業界、瓦業界で、新築に瓦を使ってもらいたい人にとって、伝統とか文化とかどうでもいいと思うんです。これから先、50年以上にわたって住む家が、金銭的な意味も含めて、おしゃれで、快適で、納得いくかどうか。大切なのはそこであって、今までの伝統や歴史はどうでもいい。いくら伝統や文化があるものだって、快適じゃなかったり、やたらと高いものだったら、使わないもんね。

これ、自分の業界について言われると反発しがちだけど、他の業界に置き換えると、理解できたりします。金箔とか漆塗りとか、織物とか、どんどん需要が減って、職人さんが減っている業界。なんで需要が減るかっていうと、他の安いもので代用できるからに他なりません。そりゃね、本物と代用品を比較したら、絶対に本物のほうが良いんですよ。そんなの言わずもがなです。日本人ならわかるし、みんな本物に触れたいんです。が、日常生活に本物が必要かどうかっていうと、絶対に必要とは言えないんですよね。瓦も、消えつつある他の伝統産業も、本来は生活の一部にならないといけない。日常生活の一部であり、自然に触れるものこそ、そこに歴史と呼ばれるものが紡がれ、文化や伝統になるはず。不要なものはすぐに消え去り、歴史も生まれなければ、伝統や文化にもならないんですよね。

僕らが見なければいけないのは、今までの伝統や文化ではなく、いや、それも大切だし、伝えなければいけないし、それは僕らの役目なんだけど、僕らがまず大切にしなければならないのは、これから家を建ててくれる人の気持ち、心であり、その家に住む人の暮らしだと思うんです。でなければ、伝統や文化は残せないし、歴史も途絶えるんじゃないかな。

f:id:yoshikixx:20191119103951j:plain