トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

先人の知恵『越屋根』形状は、実はかなり実用的です。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

奈良に行ってきました。奈良といっても、大仏のある奈良市ではなくて、千本桜で有名な吉野の辺りです。東から奈良に向かい、吉野町に入るとこんな屋根形状が現れだします。屋根の上に小さい屋根がぽこっと生えている感じ。

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ここです。

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この部分。

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壁が黒く見えますが、ここは壁ではなく、空間になっていて、土間に直結しています。この屋根は『越屋根(こしやね)』と言って、換気と明り取りとして作られます。薪を使って煮炊きすると、煙突が無ければ、当然のことながら煙が屋内にこもってしまいます。ところが越屋根を作ると、煙は綺麗に上に抜けていくので、煙がこもることが無くなるんです。そして、壁が抜かれているので、これも当然のことながら、明かりが入ってきます。それがけっこう明るいんです。しかも直射日光ではないのでまぶしいほどではないし、屋根の一番上にあるので換気もできて、夏の暑さもしのげます。まさしく先人の知恵ですね。

薪を使わなくなった家からは消えていっていて、吉野町の辺りでも越屋根の無い家が多くなってきていますが、実はかなり実用的な屋根形状なので、天窓(トップライト)の取りつけを考えているなら、越屋根も検討してみるといいかもしれません。