奈良に行ってきました。奈良といっても、大仏のある奈良市ではなくて、千本桜で有名な吉野の辺りです。東から奈良に向かい、吉野町に入るとこんな屋根形状が現れだします。屋根の上に小さい屋根がぽこっと生えている感じ。
ここです。
この部分。
壁が黒く見えますが、ここは壁ではなく、空間になっていて、土間に直結しています。この屋根は『越屋根(こしやね)』と言って、換気と明り取りとして作られます。薪を使って煮炊きすると、煙突が無ければ、当然のことながら煙が屋内にこもってしまいます。ところが越屋根を作ると、煙は綺麗に上に抜けていくので、煙がこもることが無くなるんです。そして、壁が抜かれているので、これも当然のことながら、明かりが入ってきます。それがけっこう明るいんです。しかも直射日光ではないのでまぶしいほどではないし、屋根の一番上にあるので換気もできて、夏の暑さもしのげます。まさしく先人の知恵ですね。
薪を使わなくなった家からは消えていっていて、吉野町の辺りでも越屋根の無い家が多くなってきていますが、実はかなり実用的な屋根形状なので、天窓(トップライト)の取りつけを考えているなら、越屋根も検討してみるといいかもしれません。