朗読劇を観てきました。僕は映画やドラマは観るものの、舞台には興味がなくて、一度も観たことがありません。ミュージカルなんて、歌を歌う理由がわからないので(笑)観る気もしません。そんな僕が観てきたのが朗読劇『天切り松闇語り~闇の花道~』です。
浅田次郎さん原作の『天切り松闇がたり』シリーズは、僕の読書歴代ナンバー1の作品。浅田次郎さん自身も「『天国までの百マイル』だろうが『鉄道員(ぽっぽや)』だろうが、『天切り松』の前ではひれ伏す。『天切り松』を書きたくて小説家をやっている」というようなこと語っているほど。大正時代に活躍したスリや泥棒たちの美しい生き様を描いていて、とにかくかっこいい。日本人として生まれたからにはこういう生き方をしたい!と思わせてくれて、何度も何度も涙させられる作品です。
そんな大好きな作品の朗読劇が開催されるというのを、テレビの情報番組でちらっとやっていて、出演者を見てみると、市川猿之助や市川中車といった、一流の役者さんが演じることが判明。
場所は豊橋市と、常滑からは少し遠いけど、すかさずぽちりました。
会場はとても素晴らしい建物で、どうやら歌舞伎なんかもやるみたい。こんなところが豊橋にあるなんて知りませんでした。
天切り松の内容については、キリがないので書きませんが、役者さんたちの表現力の凄まじさたるや。朗読劇なので、動きはほとんどなくて、役者さんたちが本を読んでいるわけですが、べらんめえ口調で話す登場人物の姿が、そのままイメージできるほど。そして、舞台の上に大正の街が広がって見えるほど。一口に読むと言っても、突き詰めていくとこれほどになるのか。お客さんのほとんどは、おそらく歌舞伎ファンであって、原作のファンではなかったとは思いますが、みんなすっかり話しに引き込まれていました。僕も大満足。
朗読という、限られた表現ですが、一流の表現者が表現すると、こんなにも伝わるんだなと感動しました。同じ文章でも朗読する人が違えば、伝わりかたが違うはず。表現の大切さを実感しました。