『チーム』『チームⅡ』に引き続き、『チームⅢ』を読みました。
『チーム』では、箱根駅伝を通して、敗者の寄せ集めである学連選抜が、一つのチームとなる姿を描き、『チームⅡ』では学連選抜でチームとなったメンバーが、一人を支えるために再び集結し、新たなチームを作ります。そして『チームⅢ』ではチームⅡで支えられた一人が、才能ある若者を支えるために、チームの一員となります。
『チーム』が発表されたのが2008年で、『チームⅢ』が発表されたのが2020年3月。Ⅲは東京オリンピックの前年から当年の、フルマラソン日本代表選考レースを舞台としています。学連選抜でチームとなった、山城、浦、広瀬、門脇、朝倉、そして吉池が、それぞれ年齢を重ね、立場を変えて登場します。12年の間に『キング』『ヒート』『チームⅡ』と発表されましたが、良くも悪くも天才・山城を中心として物語は展開していきます。なんせ傲慢で、いかにもスポーツ物に出てくる敵役といったところですが、最後の最後まで山城はマラソンの記録にこだわり続けます。そこにはブレがなく、ただひたすら、純粋に自分の記録を求めるからこそ、読者は、山城の唯一の理解者(笑)である浦と同じように応援してしまうんだと思います。僕も山城を見ていて「あんなに自分のことに集中できるなんて凄い」とは思っても、嫌いにはなれません。山城は最後までかっこいいんです。やっぱり僕は山城に憧れます。ないものねだりですね。
『チーム』の駅伝で繋いだ襷を、山城や浦が違う形で繋いでいく。『チーム』『チームⅡ』『チームⅢ』の一気読みがオススメです。