トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

めっちゃ難しい!一文字!

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の竹内です。

 

若き腕利き職人たちに依頼した仕事というのは『腰葺き、小瓦一文字』というものです。

 

腰葺きというのは↓みたいに、瓦の周りが銅板等の板金で葺かれている仕様。

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小瓦というのは、字のごとく、普通の瓦より小さい瓦。普通の瓦が1坪に53枚使うのに対し、80枚も必要になります。

↓桟瓦はこんくらい小さいです。

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小瓦っていうのは、なかなか使われる機会が少ない=生産量が少ない、ということで、普通の瓦よりも精度が低くなりがちで、ねじれがあることが多く、一枚一枚の並べ方を変えたり、見えない部分を削ったりして、隙間ができないように合わせる必要が出てくるので、とても手間がかかります。

 

一文字というのは、通常に使用される↓みたいな万十軒瓦と違い

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先っぽが一直線、一文字になるのが特徴です。

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一文字っていうのは、そりゃあもう手間がかかります。

万十軒は丸いのが着いているおかげで、重なりの部分が見えなくなるのですが、一文字は全てが見えます。一枚一枚、切って削って、隙間なく合わせていくのですが、なんせ見える部分を切削しないといけないので、とにかく繊細な仕事を必要とされます。

 

一文字軒は↓みたいな状態で出荷されてきます。大きさがわかるように桟瓦と重ねてみました。

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裏はこんな感じ↓

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 これを桟瓦の大きさに合わせ、隙間なく納まるように切削します。なんで最初から桟瓦に合わせて作らないかというと、焼き物である以上は、大きさにバラつきが出てしまうことと、屋根の大きさに合わせて、桟瓦の大きさも調整する必要があるからです。

 

 今回は門の表裏で34枚の一文字を合わせました。二人で丸1日かかって合わせたようです。かなり早いです。

 

 合わせた一文字には順番を間違えないように、番号を振っていきます。これをやらないと、せっかく合わせても隙間が空いてしまうので、大切なことです。
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合わせた一文字の裏側はこんな感じ↓

ただし、これは欠けちゃったやつなので、使用不可です。
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これらを屋根に上げて、並べていきます。
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クサビを入れて高さ調整します。
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葺きあがりはこんな感じ。こっちから見ると段差がありますが

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こっちから見ると段差無し。

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棟を積んだあとの全体はこんな感じ。

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門の全体はこうなりなました。

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小瓦を門に使うと、奥にある母屋の普通サイズの瓦と、門の小瓦の大きさが極端に違って見えず、自然な雰囲気になります。

門のある家の前を通るときに、ちらっと見てみてくださいね。

 

これ、いつかは書きたいなと思っていたのですが、ブログを書き始めて1年半にして、やっと書くことができました。本当に滅多に無い仕事なんです。

ちょっとスッキリしました(笑)

 

ではでは。