若き腕利き職人たちに依頼した仕事というのは『腰葺き、小瓦一文字』というものです。
腰葺きというのは↓みたいに、瓦の周りが銅板等の板金で葺かれている仕様。
小瓦というのは、字のごとく、普通の瓦より小さい瓦。普通の瓦が1坪に53枚使うのに対し、80枚も必要になります。
↓桟瓦はこんくらい小さいです。
小瓦っていうのは、なかなか使われる機会が少ない=生産量が少ない、ということで、普通の瓦よりも精度が低くなりがちで、ねじれがあることが多く、一枚一枚の並べ方を変えたり、見えない部分を削ったりして、隙間ができないように合わせる必要が出てくるので、とても手間がかかります。
一文字というのは、通常に使用される↓みたいな万十軒瓦と違い
先っぽが一直線、一文字になるのが特徴です。
一文字っていうのは、そりゃあもう手間がかかります。
万十軒は丸いのが着いているおかげで、重なりの部分が見えなくなるのですが、一文字は全てが見えます。一枚一枚、切って削って、隙間なく合わせていくのですが、なんせ見える部分を切削しないといけないので、とにかく繊細な仕事を必要とされます。
一文字軒は↓みたいな状態で出荷されてきます。大きさがわかるように桟瓦と重ねてみました。
裏はこんな感じ↓
これを桟瓦の大きさに合わせ、隙間なく納まるように切削します。なんで最初から桟瓦に合わせて作らないかというと、焼き物である以上は、大きさにバラつきが出てしまうことと、屋根の大きさに合わせて、桟瓦の大きさも調整する必要があるからです。
今回は門の表裏で34枚の一文字を合わせました。二人で丸1日かかって合わせたようです。かなり早いです。
合わせた一文字には順番を間違えないように、番号を振っていきます。これをやらないと、せっかく合わせても隙間が空いてしまうので、大切なことです。
合わせた一文字の裏側はこんな感じ↓
ただし、これは欠けちゃったやつなので、使用不可です。
これらを屋根に上げて、並べていきます。
クサビを入れて高さ調整します。
葺きあがりはこんな感じ。こっちから見ると段差がありますが
こっちから見ると段差無し。
棟を積んだあとの全体はこんな感じ。
門の全体はこうなりなました。
小瓦を門に使うと、奥にある母屋の普通サイズの瓦と、門の小瓦の大きさが極端に違って見えず、自然な雰囲気になります。
門のある家の前を通るときに、ちらっと見てみてくださいね。
これ、いつかは書きたいなと思っていたのですが、ブログを書き始めて1年半にして、やっと書くことができました。本当に滅多に無い仕事なんです。
ちょっとスッキリしました(笑)
ではでは。