トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

海沿いのまちの独特な雨漏り。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

海沿いのまちならではの雨漏りがあります。

常滑は愛知県の知多半島中部に位置し、西側に南北16キロの海岸線があります。冬には鈴鹿山脈から降りてきた猛烈な西風が吹きつけ、それにより、他の地域にはあまり見られない雨漏りをすることがあります。

瓦が溶けるような現象。

先日も常滑の北部に雨漏り修理に行ってきました。まずは原因を探る必要がありますが、表面上は雨漏りするような箇所が見受けられません。室内から見た雨漏り箇所の位置を屋根上で照らし合わせ、だいたいこの辺りというところの瓦をめくってみると、原因がわかりました。瓦が溶けたような状態になっています。

重ねてみると分かりますが、普通に屋根の上に並んでいる状態だと、溶けている場所が見えません。

並べた状態。溶けている場所が見えません。

原因は『塩』。

溶けると書きましたが、焼き物である瓦が本当に溶けるわけではありません。原因として考えられるのは『塩』です。冬場に風速10メートルを超える、猛烈な西風が運んでくる潮水が、瓦の重なっている部分にわずかに溜まり、目に見えないほど小さな穴から染み込み、水分だけが乾燥し、塩だけが結晶として残ります。液体として染み込んだときには問題ありませんが、結晶となると、目に見えない小さな穴を押し広げようとします。これを数十年、五十年以上(この建物の場合は80年ほど)、繰り返すとボロボロに、溶けたような状態になります。

全ての瓦に起きる現象ではありません。

ただし、この現象は全ての家、全ての瓦で起こるわけではありません。瓦を焼くときの温度が、一定より低かった瓦が使われているのが最低条件として、瓦を使っている建物のうち1%にも満たない確立だと思います。瓦を焼く温度が低い、という条件を考えると、いわゆる古民家レベルでこそ起きる現象であり、石油ショック以後の、この50年ほどで焼かれた瓦だと、ほとんど起きないと考えられます。

ちなみに同じ家の増築部に使われていたガルバリウム鋼板は、30年弱でボロボロになっていました。瓦は80年でも板金は30年もたないってことですね。

雨漏り修理は地元業者に。

雨漏りにはいろいろな原因があります。一つだけでなく、いくつかの原因が重なって起きる雨漏りもあります。また、地域によって現れる原因もあります。雨漏り修理はその地域でよく仕事をしている、地元の業者に依頼すると良いと思います。