トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

歴史の終焉となるか、歴史の一部となるか

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の竹内です。

 

瓦のことを知ってもらおうと思って書き始めた、このブログ。瓦や屋根のことは半分くらいしか書いていないような気がしますが、それでも読んでくれた人たちからは、「瓦って綺麗」とか、「旅先で屋根を見るようになった」とか言ってもらえることもあって、書いてきて良かったなと感じることがあります。

 

瓦というのは約1400年前に大陸から伝わってきて、日本で独自の進化を遂げて現在に至りました。奈良県元興寺では、1400年前の瓦が現役選手として、屋根の上で仕事を続けています。

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元々は高級品で、神社やお寺、お金のある一部の人だけが使えるものでしたが、一度、火事が起こると大きな被害が出た江戸の街で、延焼を防ぐために、不燃材として瓦が幕府から奨励されたのがきっかけで広まりました。とはいえ、瓦を作る職人や窯が無い地域や、そもそも瓦作りに適した土が取れない地域では、明治や大正、交通網が発達するまでは茅葺き等の近辺で手に入る材料を使う屋根が多かったのが事実です。しかし、交通網が発達してからは、大きな産地から瓦が届けられるようになり、一般住宅に当たり前に瓦が乗るようになりました。

 

今では瓦以外にも化粧スレートや板金等が使われるようになり、一時と比べると瓦の採用率は下がっています。特に阪神淡路大震災以後は、重い=地震に弱いという間違った印象から、一層、下がっています。

 

僕がブログを書き始めたのは、採用率の低下という流れに抗うためです。1400年の歴史を受け継ぐ職人として見たときに、瓦は未だ最高の屋根材です。にも関わらず、間違った印象で瓦の採用が激減している。これを止めるには、誰かがやってくれるだろうと人任せにすることなく、わずかな力ではあっても自分がやるんだという思いに駆られて書き始めました。

 

この先、神社やお寺が残っていくからには、瓦が無くなるということは考えられません。一部の文化財的要素で残るでしょう。しかし、放っておいたら数十年のうちに一般住宅からは瓦が姿を消します。せっかく素晴らしい屋根材であり、建材であるのにも関わらずです。

 

1400年の歴史の終焉を迎えるのを座して待ち、自分の目で見るのか。数百年後の瓦の歴史の一部となるのか。今が分かれ目だと考えています。