東海道は五十三次だけど中山道は六十九次あり、東海道と共有する草津宿と大津宿と除いた、67の宿場で数えると、奈良井宿は西からも東からもちょうど真ん中の34番目の宿場町になります。つまり、一番遠くて、折り返し地点になるということ。昔、中山道を歩く人たちは奈良井宿に着くと、半分来たなと思ったんでしょうね。
ちなみに東京の日本橋からだと、現在の道路を通って232kmあるので、毎日、頑張って歩いても5日くらいはかかるのかな。実際の中山道は山道だし、当時は舗装もされていなかったから、一週間くらいはかかったのかもしれません。
愛知県から行く宿場町というのと、妻籠や馬籠が近いので、奈良井宿には行ったことがありませんでしたが、今回は木曽町でキャンプしたついでってことで行くことにしました。
風情のある町並みですが、妻籠、馬籠と比べると道が広くて平坦なので、散策しやすい雰囲気です。そして、さすがは最も遠い宿場町だけあり、人が少ないのでゆっくり見ることもできます。
お昼ご飯は奈良井宿の南端あたりにある『そば処山なか』さん。
名物『とうじ蕎麦』を頂きました。とうじ蕎麦はぐつぐつと煮えている鴨出汁に蕎麦を投じ、熱くして食べる蕎麦。初体験です。
温めて食べるので、どうしても香りは弱くなりますが、出汁も美味しくて満足。お店の人も親切で良いお店でした。
いくつかのお土産屋さんを巡りながら、次は五平餅と団子を。
何気なく寄った工芸品や陶磁器のお店。ちゃんとしたお店です『花筏』さん。
置いてあるものは店主がコレと感じたものだけ。本当の職人さんが作ったものばかりで、一目見れば良いものだとわかります。店主とその娘さんがいろいろと説明してくれて、それぞれの品の背景も知ることができるので、一つひとつがけっして高くないことがわかります。
女房は伝統工芸士がつくった手挽きの櫛を買いました。なにやらこの櫛を使うとくせっ毛がまっすぐになるとか、子供のころから使っていると、年をとっても白髪にならないとか。実際に女房はけっこうなくせっ毛ですが、ちょっと梳いただけで少しまっすぐになりました。斧折れかんばとも呼ばれる、ミネバリというめちゃくちゃ硬い木を、仕入れてから20年乾燥させてから、伝統工芸士がすべて手で挽いて16000円。一生モノだし、櫛自体がかっこよくて美しいので、ぜんぜん高く感じません。良い買い物をしました。
山あいに流れる川沿いにある風情ある町並み。こういう町並みを見て「懐かしい」と思うわけはありませんが「美しい」とは思います。また行きたいところ、おすすめできる場所が増えました。