以下は日本トレイルランニング界の先駆者、鏑木毅さんが日経新聞のネット版(?)に連載しているコラムからの抜粋です。
「日本の主要都市を見ても、東京スカイツリーや名古屋城、通天閣などシンボルはあっても、面としての景色はあまり変わらず、どこも同じように見える。懐かしさを感じさせる街並みも再開発の名のもと、年々失われていくばかり。人口が減少し、新築住宅に皆が住みたいためだろうか、無秩序に30年程度の耐久年数の建物が建築されている。見過ごしておいてよいのだろうか。
日本のみならず、アジアで経済成長が著しい都市は急速に街並みが変貌を遂げて、時折、自分がどの国にいるのかさえわからなくなるほど。20年以上前に初めて訪れたシンガポールを数年前再び訪れると、街並みががらりと変わっていて驚いた。かつては英国風とアジア的な特長が融合した独特の雰囲気があったのに、近代化してやや風情に乏しい街へと変わっていた。」
アスリートである鏑木さんは、ヨーロッパ遠征を重ねているのもあり、建築家でもないのに、街並みに対してこんな印象を抱いています。
僕は日本が好きだし、ヨーロッパを手放しに賛美したりもしませんが、街並みに関してはボロ負けだと思っています。
bingで『世界遺産 街並み』で画像検索すると、屋根の写真がとても多くヒットします。街を歩く人の目線の画像よりも、俯瞰するような画像のほうが、はるかに多くヒットするんです。赤やオレンジの瓦の統一感が街を美しくします。
瓦が赤やオレンジだから綺麗なんじゃないの?と思うかもしれませんが、ベルギーなんかは黒い屋根も多くありますが、とても美しいです。
統一感いうのは、とても大切なんです。屋根に統一感があると、その街の景観に統一感が生まれ、個性が生まれます。個性というのは「自分勝手にバラバラであること」ではないということが分かります。
日本には日本の良さがあるはずですが、残念ながらすでに失われてしまった風景が多くあります。日本らしい美しい風景を見てみたい人って多いと思うんです。