トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

金沢は職人の旅先として面白い街。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

金沢では、金沢城公園や兼六園と普通(笑)の観光もしてきました。

その中でも、屋根屋として印象的だったものを紹介します。

f:id:yoshikixx:20201116173145j:plain

尾山神社の門です。鳥居の奥にあるのが門で『神門』といいます。神社で門があること自体も珍しいのですが、より珍しいのは様式です。和洋折衷というのはよくありますが、この門は和洋に加えて清の様式も加えられているそうで、言われてみるとそんな雰囲気を感じます。

f:id:yoshikixx:20201116173616j:plain

f:id:yoshikixx:20201116173632j:plain

ちなみに一番上には背の高いとんがりがありますが、世界最古の避雷針だそうです。僕はすっかり前田利家の兜を模したのかと思いました。だって、尾山神社自体が利家公とお松の方を祀っているんだからさ。

尾山神社自体の屋根は北陸独特の黒い瓦で葺かれています。

f:id:yoshikixx:20201116174017j:plain

そして屋根屋の集りだけあって、この建物を見ながら話題は瓦に。

f:id:yoshikixx:20201116174205j:plain

f:id:yoshikixx:20201116174218j:plain

わかりますかね?瓦が二重になっています。地元の屋根屋である斉藤さんも理由は分からないとのことですが、おそらく谷という部分から流れる大量の水をしっかりと流し、雨漏りさせないためだろうという結論になりました。

 

次は朝のランニングでも見た鼠多門。

f:id:yoshikixx:20201116174427j:plain

屋根は瓦じゃないし、なんかちゃっちいよねーと。斉藤さんによると当時と同じ素材の鉛で出来ているとのこと。なんで鉛なんだろう?扱いにくくないのか?なんて話していると、斉藤さんがさらに追加の説明を。鉛で作ることにより、戦になったときには剥がして鉄砲の弾として使えるとのこと!おお!さすがは幕府を上回る力を持っていたと言われる加賀藩だ!そういうことか。斉藤さん、やるじゃん!

f:id:yoshikixx:20201116174854j:plain

鉛の瓦

この屋根も全て鉛で出来ているらしいです。

f:id:yoshikixx:20201116174918j:plain

兼六園はすでに雪つりされていましたが、それは普通のことなので写真を一枚だけ。

f:id:yoshikixx:20201116175107j:plain

そして屋根屋としては、こういう仕様も話題に。

f:id:yoshikixx:20201116175212j:plain

入母屋の上の部分を蓑甲(みのこ、あるいはみのこう)と言う箇所の長さと勾配です。

f:id:yoshikixx:20201116175418j:plain

うちの辺りだと、蓑甲の長さは瓦一枚分で、勾配もこんなには着けません。でも北陸に来ると、瓦二枚どころか、三枚分の蓑甲もざらにあります。たぶん雪のアレなんでしょね。屋根屋同士でこういうのを、ああでもないこうでもないと話すのが楽しい。

 

金沢は美しい建物がたくさんあって、しかも独特な文化も芸術的でとても深い街です。あらゆる職人が行く旅先としては、本当に面白い街だと思います。