土曜日の夕方、某所での挨拶を終えて、試合開始寸前に太田川駅にあるスポーツバー、ブービーズに滑り込みました。
試合は点差以上に南アフリカの圧勝といっても良いでしょう。フォワードで圧倒し、バックスも躍動。イングランドも健闘しましたが、ニュージーランドを撃破した後というのは難しかったんでしょうね。いずれにしてもラグビーとラグビーワールドカップは素晴らしい時間を日本に提供してくれました。
今回の南アフリカでは、黒人のシヤ・コリシが初めてチームの主将を務めました。1995年に南アフリカが自国開催の大会で初優勝したとき、黒人選手は一人だけで、他はすべて白人でした。1990年まで人種差別政策アパルトヘイトが実施されていた南アフリカにとって、ラグビーは白人のスポーツだったんです。アパルトヘイトが撤廃された後も、まだまだ人種差別の意識が残る南アフリカを、なんとか一つにまとめようと闘っていたのが、当時、初の黒人大統領となったネルソン・マンデラさん。マンデラさんは白人のスポーツであるラグビーを使って、国民を一つにしようと考えたそうです。このあたりは映画『インビクタス/負けざる者たち』に詳しいので、ぜひ観てほしいと思います。
余談ではありますが、日本代表は1995年の南アフリカ大会において、控え選手中心のニュージーランドに対して『145対17』という歴史的な敗北を喫しています。映画の中で、そのスコアを見た、モーガン・フリーマン演じるマンデラ大統領の「これはバスケットボールの試合結果か?」というセリフがありますが、バスケットボールだって、こんな大差にはなりません(笑) この試合後、日本はこの先100年は南アフリカ、ニュージーランド、イングランド、オーストラリアには勝てないと言われましたが、20年後、実質的には、エディ・ジョーンズが監督に就任してからの、わずか数年で南アフリカを倒すまでに成長したわけです。
さて、ラグビーを使って国をまとめる、と言葉にするのは簡単ですが、一筋縄で行くわけもなく、南アフリカでは未だに人種差別が残っています。南アフリカだけではありません。世界各地に残っています。それは日本人の想像の範疇を超えるものとして。コリシ主将が優勝後のコメントで「我が国には問題が多くある」と語っていたのには、人種差別も含まれています。マンデラ大統領が目指した国民の融合。南アフリカの今大会での優勝で前進したのであれば、今大会がより素晴らしいものになったと思います。