トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

「下痢なら大したことないよ。一緒に行こう」と彼は言った。

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の竹内です。

 

世の中にはとんでもない化け物のような人がいるもので、トライアスロントレイルランニングなどという、アレな遊びをやっていると、化け物に会うことがよくあります。化け物どもの化け物たる所以は、もちろんその圧倒的なフィジカル=身体能力にあるんですけど、化け物の中でも、とびきりの化け物ともなると、完全に頭がイッちゃってるんじゃないかと(笑)

8月31日、9月1日とフランスやイタリアやらで開催された、ウルトラ・トレイル・デュ・モンブラン(UTMB、総距離170kmのトレイルランニング)では、日本のエースと言っても過言ではない選手でもリタイアし、ゴールにたどり着くことができませんでした。そんな中、50歳にして見事完走したのが、過去に日本人歴代最高順位となる3位を獲得したことがある鏑木毅さん。

 

以下、中尾益巳さんのFacebookによるUTMBレポートの一部です。

【UTMBリポート8月31日】
モンブラン一周170kmを走り続けるUTMBの中間地点、イタリア・クールマイユール。
夜明け前、午前5時22分にエイドステーションに到着した土井陵は椅子に座り込んだまま動けなくなった。足腰だけでなく内臓も強くなければ勝てないこのレース。出場4回目、最高11位の成績を残している土井は体調管理や栄養補給を万全に準備したが、突然原因不明の下痢に襲われたという。何度もトイレに行くが回復しない。
「体が全然動かない。しばらく休みます。」
同年代のライバル・小原将寿は好調で10位以内に上昇しているが、もう一人の盟友・大瀬和文は下痢による強い腹痛でリタイアしたという情報が入ってきた。自分もここまでかと思った時、会場の日本人たちが湧いた。6時11分、エイドに到着したのは鏑木毅だった。
ちょうど10年前、今も破られていない日本人最高位の3位に入賞した鏑木。50歳で再挑戦している今年、往年のスピードはない。しかし自分のペースを守って走り続け、体調は良好。エイドで6歳の愛娘に会ってリラックスもしている。その鏑木が近くにいる土井の不調に気づき、意外な一言を掛けた。
「下痢なら大したことないよ。一緒に行こう」
土井の表情が変わった。
「無茶言うわ。でも鏑木さんにそう言われたら行かなあかんわ」
しかし鏑木はさっさと支度をしてスタートしてしまう。
「一緒に行くって言うたやんか!」
土井は笑いながら後を追う。6時22分、クールマイユールに着いてちょうど1時間後だった。
エイドを出て200mほどの地点で、土井は鏑木に追いついた。さっきまで立ち上がれなかった選手とは思えない。50歳と38歳は並んで、世界最大の100マイルレースの後半に向かっていった。

                             以上、レポートです。

 

その後、土井選手は復調し、23時23分にゴール。そのまま鏑木さんを待ち、0時30分にフィニッシュゲートで再会したそうです。

僕たち凡人はどうしても自分で限界を設定してしまいます。でも、化け物・鏑木毅は「下痢なら大したことない」と言い放ちます。ここが化け物と凡人の最大の違い。フィジカルとか才能とか、そういうレベルではなく、限界を作らない頭。フィジカルや才能では追いつけなくても、限界を作らない頭なら追いつけるはず。もしかすると、一番、難しいことかもしれないけど、それでも誰だってできるはず。

IRONMANのテーマ『Anything is Possible(不可能は無い)』を改めて思い出しました。

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熱中症でもゴールできたしね。