今回の台風被害は、うちだけでも100件ほどの修理依頼が来ています。天候不良や人手不足があって、なかなか進まなくて、お客さんにはお待たせしてしまって、申し訳なく思っているのですが、実は修理不可能なものもあったりします。
一口に屋根と言っても、瓦もあれば、薄型化粧スレート(カラーベスト)、板金系、シングルといろいろあり、さらに各種の中でも形状や色が細かく別れています。お客さんにとって、色々な屋根材が選択できるということがメリットであることは間違いないのですが、デメリットにもなります。
台風で瓦が飛んだから修理してほしいという依頼を受けると、まず下見に行きます。そこで確認するのは、被害状況、瓦や他の屋根材の種類や数量等。昔からある、いわゆる和型と呼ばれる形状の瓦であれば、問題ないのですが、困るのはこの30年くらいで広まった屋根材です。
瓦に関しては平板と呼ばれる、平らな瓦。他の屋根材でもとても多くの物で、生産が終わっている物があります。
現場を下見してくれた職人から写真が送られてきて、うちが使ったことのない瓦でしたが、過去のカタログみたいなものに照らし合わせて、おそらくこれであろうという瓦を発注してみたら…
見事に違いました…。瓦メーカーの営業さんに聞いてみたら、生産中止で在庫も無いとのこと。万事休すです。全国の同業者に問い合わせれば、おそらく見つかるとは思いますが、それはその場しのぎに過ぎなくて、また必要になる可能性だってあるわけです。
家というのは数十年に渡って暮らすものです。場合によっては百年だって暮らすことがあります。屋根材に限ったことではありませんが、奇をてらったデザインの物や、新しいだけの物を選ぶよりも、昔からある定番=実績のある物を選択するというのは大切なことだと思います。