トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

「わかる人にはわかる」では「わかって欲しい人にはわからない」

トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の瓦葺き師・竹内です。

 

このままだと伝統的なある物が無くなってしまうという、某人のFacebookに対して「わかる人にはわかりますよ!」というレスが着いていました。言わんとすることはわかります。が、残念ながらそれはなんの解決にもなりません。そして、そんなふうだからこそ、伝統的なある物は、安くて手軽に入手できる新しい物、代替品に取って代わられます。

 

例えば輪島塗の汁椀は、手になじみ、唇への当たりも柔らかく、全てが天然の素材で作られていて、数十年も使うことのできる、それはそれは素晴らしいものなのかもしれません。でも、使ったことのない人にはわからないし、自分で調べない限りは、誰かが教えてくれないと知ることもできません。

いわゆる伝統工芸として、芸術品として、趣味として集めたり、使われたりすることで、わずかに残った職人さんが芸術家的な存在で、十分な収入と尊敬を得ることができるのであれば、あるいは構わないのかもしれません。

 

瓦はどうかと考えると、今のままであれば神社やお寺で、意匠的な意図で残っていくだけで、日常に溶け込み、日用品として、普段の生活を守るためのものとしては残りません。なぜなら「わかる人にしかわからないもの」になってしまっているからです。

 

ある物を買おうとしたとき、どんな情報を得ようとするかを考えると、それが信頼に足りるかどうか、価格と性能、機能のバランスがでしょう。HPを見たり、使った感想が書かれているネットの記事やSNSを見たりします。でも、それらは誰がどんな意図で書いているかわからないし、HPに至っては当然ながら良いことしか書かれていません。

では、どんな情報なら信用できるかというと、家族とか友達、会社の同僚といった、身近な信頼できる人の言葉だと思います。

 

「わかる人にはわかる」では「わかって欲しい人にはわからない」から、それを残したいと思うなら、「わかる人」は伝える努力をしないといけないと思います。

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