トライアスリート屋根屋、四代目屋根誠・竹内のブログ

旅好きな屋根屋でトライアスリートの竹内賀規が、トライアスロンのことやトレイルランニングのことを書くついでに、屋根のことや瓦のことを書きます。

IRONMANグレ、バイク編 その2

 トライアスリート屋根屋、常滑は屋根誠の竹内です。

 

バイクの目標タイムは5時間30分。平均速度にすると33km/h。バイクだけで考えれば全然、問題無く出せるタイムですが、しっかりとランに繋げるために、タイムや速度を無視して、心拍数とパワーを指標に走ります。心拍数は145、パワーは195~200と、抑えているので、身体に掛かる負担はとても軽い状態。

 

エイドでは水ボトル1本、ゲータレードボトル1本、ジェルをもらいます。ジェルは美味しくはないけど、エネルギーと割り切って食べ続けます。

 

三周回するので、仲間とは何度もすれ違い、そのたびに時間の差を計測。下りでぶち抜いていった桑本さんは10分、近藤さんは7分といったところをずっと維持。後続もずっと同じくらいの差を維持している感じ。

シズカちゃんに追いつき、ちょっと雑談。ペースは落とし気味になるけど、リフレッシュ時間として考えているので問題なし。

100kmを超えたあたりで、初IRONMANのユカさんを周回遅れに。追いついてから、また少し雑談。ユカさんは骨折からの復帰で、とにかく完走という感じ。距離と時間からいえば楽勝ですね!楽しく行きましょう!と声を掛けてから、再び先行しました。

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125キロ地点、右への直角コーナー手前で体を起こした瞬間、右脚の大腿四頭筋が痙攣。こんなに抑えてきたのに、まさか!? とりあえず塩と水分を摂りました。実は序盤の25km辺りから右の腰に違和感があり、ときおりダンシング(立ち漕ぎ)を入れて、腰を緩めるようにしていたのですが、どうやら右腰をかばうために右脚に負担がかかっていたよう。腰を緩めるためにダンシングしようとすると大腿が痙攣して、ここからは事あるごとに大腿が痙攣しました。

 

周回路を終え、バイクフィニッシュに向かう産業道路に入ると、日陰が無くなり、緩い上りと向かい風が襲ってきます。

 

気づくと汗が止まっていて、頭もクラクラしだしました。熱中症の症状です。水分補給したくても、ボトルの水は尽き、エイドもありません。時折、脚を止め、惰性で進み、腰の痛みでDHポジションもとれないという最悪の時間。一人で苦労している僕の横をドラフティングしながら抜いていく6人ほどの集団。あんな奴らに抜かれるなんてカッコ悪い…と思いながらも、ほぼ限界の状態で耐えるのみ。心拍数とパワーが下がっていないことだけを唯一の拠り所としてペダルを回し続けました。産業道路から出るところで交通整理をしていた警察官の「ファイティン!」という応援は心に沁みました。

 

産業道路を終え、緩い下りの追い風区間では、なんとか前に離されない程度の速度を維持してトランジットエリアにたどり着き、降車エリアで降りると、他の選手は小走りで行きますが、僕は一切走れず。身体が鉛のように重い状態。ただただ、今までに体に刻み込んできた流れだけが、動きを止めることを拒否しているだけ。

 

ランのトランジットバッグを受け取り、椅子に座って、緩慢な動作で準備を開始。頭は働いていなくても、染みついた習慣は体を動かします。靴下を履いて靴を履き、サンバイザーを被ってサングラスをかける。レースナンバーを着けて、バイクで使っていた道具を袋に入れて出発。

 

トランジットエリアの出口に設置されたエイドで水分を摂り、身体に水をかけて、歩き出すも、身体は重いまま。頭がクラクラして、指先も痺れてきて、このままでは危険な状態。完全に熱中症。進むか止まるか、迷った挙句にエイドに戻り、水分をもらって座り込んでいたら、テクニカルスタッフの人が寄ってきて「向こうの日陰で休んで、リラックスしなさい」と言ってくれたので、テントのところに移動。「あなたには、まだまだ時間がある。休息してリラックスしたら、もう一度、スタートしなさい」と言ってくれました。しかし、僕の中では、この時点でDNF(リタイア)することを、ほぼ決めていました。こんな状態でフルマラソンを走れるとは思えなかったし、無事に帰国することが何よりも優先するべきことだから。

テントの下でぐったりしながら、今までの4年間のことを思い出すと、いったい何のためにやってきたんだろうと、やっぱり悔しい…。

 

会場ではバイクを終えた選手の名前が次々とコールされます。たっつんやシズカちゃん、小林さん、中道さんが次々と現れ、声を掛けてくれます。僕は事情を説明して送り出します。仲間のバイクフィニッシュが一段落したらDNFを宣言しようと思っていたら、僕が休み始めて20分後くらいに上萩さんが現れました。強烈な眠気に襲われた上萩さんは、バイクに乗りながら眠ってしまい、落車しながらも、なんとかトランジットまで辿りついたとのこと。今も眠いから10分だけ寝ると言って、僕の隣で寝始めました。仲間二人がレース中に並んで寝ているというシュールな絵面(笑) 後から現れた小森さんは大笑い。携帯が無くて、写真を撮れなかったことを残念がっていました。

 

10分だけ寝ると言っていた上萩さんは30分後に目を覚まし、再スタートすると言いました。釣られた僕も立ち上がってみると、かなり回復している感じ。エイドごとに判断することにして、行けるところまで行くことにしました。

テクニカルスタッフのおじさんに御礼を言って再スタート。

 

バイクタイム5:57:12 平均速度30km/h

トランジット54:49

 

おそらく、IRONMAN史上、最長のトランジットタイムを叩き出しました(笑)