雨漏りとか、瓦の修理とかで屋根に上る建物にはかなり古いものもあります。築10年から100年越えまで。
僕は葺き師として仕事をし始めて24年になりますが、古い建物の屋根に上がると、当時の職人さんの腕の良さに圧倒されます。
この写真は3月24日のブログ
でも書いた、僕のひいじいちゃんが葺いた瓦です。
一見すると、なんでもないように、当たり前に葺かれていますが、実は瓦の形がバラバラなんです。捻じれていて、歪んでいます。それもいろんな方向に、いろんな捻じれ方をしています。専門用語ではオチとかハネとか言うんですけど、まあ、そんなことは置いといて、とにかく捻じれまくっています。
瓦が捻じれている原因としては、当時の瓦を製造するための機械や、焼くための窯が今ほど良くなかったということがありますが、葺き師である僕は、昔の職人さんが、この捻じくれた瓦を上手く葺く技術を持っていたことに驚愕します。
今の瓦って、本当に捻じれが小さくて、ほぼ捻じれを気にしないでも、綺麗に葺けるんですけど、当時の瓦はそんなわけにはいかなくて、右や左に捻じれている瓦を、捻じれの具合に合わせて組み合わせていく必要があるんです。
文化財の葺き替え仕事をしたときに、昔の瓦をほとんどそのまま使ったことがあるのですが、とにかく大変でした。もう、延々と瓦を選別して、捻じれを見て、組み合わせて。普段の3倍以上の手間をかけても、昔の職人さんの仕事には遠く及ばない仕上がり。
先人たちの仕事を見せてもらうたびに、まだまだ追い求めていくべきものがあると感じます。