こないだの台風被害の復旧に行ったときにも気づき、いつか書かねばならんなと思っていた状況に、また出会ったので、今日のブログに書くことにしました。
瓦(この場合は土を焼いて作られているもの)には何種類かあって、そのあたりは僕のブログ内を『瓦の種類』で検索してもらえれば4種類に分類して書いてあるので参考にしてもらえればと思います。
その4種類の中でも、今回は平板という瓦について、その中でも取り分け、棟という部分に使われている瓦を留めつけている釘についてです。
棟というのは、建物の一番上、屋根でも一番上にある部分です。
(画像は岩福セラミックスさんのHPから拝借して、書き込みました。)
この部分の瓦を冠瓦といって、かまぼこ状の半円だったり、三角形だったりします。これを留めつけるのに、近年ではステンレスのビスを使用するんですけど、昔は釘でした。
ちょっと考えてみれば当たり前なんですけど、棟は風をすごく受けます。台風のときなんて凄まじいはず。
ずっと風を受け続けるとどうなるかというと
こうなります。釘が浮いてきちゃうんです。
35年くらい前から平板瓦が普及しだして、15年~20年間くらいは冠瓦は釘で留めるのが普通でした。僕たち職人も、試行錯誤しながら進歩しているので、平板瓦の初期というのは釘で充分だと考えられていたんです。
ですが、時を経て、何度も台風を経験した冠瓦を見ると、こんなふうに浮いてきてしまうんです。
これを放っておくとどうなるかというと、台風で冠瓦が飛んでしまう可能性があります。今回のお客さんにも「何年くらいなら大丈夫か」と聞かれたんですけど、次の台風で飛ぶ可能性は十分あります、が、何年か飛ばない可能性もあります、という曖昧な返答しかできませんでしたが、それが正直なところです。
現在ではビス留めが主流になっているので、よほど浮いてきてしまうことは無いと思います。
ビス留めに変更するにはお金がかかりますが、瓦が飛んで、お隣に迷惑をかけてからでは遅いし、そっちのほうがお金がかかることがあるので、築15年以上、経った平板瓦の家に住んでいる人は、一度、冠瓦の留め付け方法を調べてもらってください。
ではでは。